『指導死』に思う、教師の仕事とは何か?

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恥ずかしながら、つい先ほどのNHKのニュースで『指導死』という言葉を初めて知りました。指導死とは聞き慣れない言葉ですが、これは教師の不適切な指導により生徒が突発的に自殺するということだそうです。

私は、中学の時に1回、高校の時に3回自殺を試みたことがあります。高校の時は病院に担ぎ込まれたこともあります。家庭環境はヒドイものでした。一時期は「完全自殺マニュアル」が愛読書でした。でもね、自殺という作業は本当に大変な作業です。リストカットでは相当に深くまで刃先を入れないと死ねません。首つりも上手くやらないと単に意識を失って終わりということになります。睡眠薬を多量に飲むというのも、尋常ではない量を飲まないといけませんから、入手から全部の飲む作業までの工程はとても大変です。飛び降りが唯一、手っ取り早い方法でしょうが、いざとなると勇気が出ないし、6階からでは死ねませんでした。そう、これらは全て私が取った方法です。

しかし、私は、学校で、警察で、指導は受けたことはあれど、「死導」を受けたことはありません。むしろ私は多くの教師に、大人たちに指導を受け、救われた人間です。報道された少年が一体指導室で何をされたのか、何が起こったのか、教師が沈黙している以上、知るよしもありませんが、もし教師の一言が少年の背中を押してしまったのであれば、「何を教えたんだよ!」と思わずにはいられません。

恩師や大勢の大人の人たちの影響もあり、一時期は真剣に教師になることを夢見ていました。大学時代、教育実習の現場で生徒に相対する前に、先のエントリーで書いた恩師の元を訪れ、質問したことがあります。「教師の仕事とは何ですか?」と。現場に出る前に心構えを知りたかったのです。恩師は即答しました。

「世の中の広さと深さを教えること」だと。

続けて、ボールペンを取り、私の目の前に差し出して、こうおっしゃいました。

「ボールペンでさえ、正面から見た時と、後ろから見たときでは形が違うだろう?自分の専門の教科で学問の深さを教えることも重要だが、色んな分野を広く知り、世界の広さを教えてあげることが何よりも重要だと思う。誤った方向に進んでいる者にはその逆の道の存在を教えてあげる。集中力が乏しいといわれる子は、実は色んなところに注意が向くスゴイ才能の持ち主なのかもしれない。古文が大好きな子だったら、西洋の古典を教えてあげて見聞を広めてあげるのも良いだろう。教師自らが常に多様な視点を持ち続け、世界は広く、思っているよりもずっとずっと多くの選択肢があるんだということを教えるのが教師の仕事だと私は思う。」

恩師の言葉が正しいのであれば、報道された教師は亡くなった少年に「死」というものをどう見せたのでしょう?その反対の「生」をどう教えたのでしょう?

「誰が善人で、誰が悪人か区別がつきづらくなったし、最近の不良は不良じゃないな。みんなどこか投げやりで可愛げがないんだよ」とは大変ご迷惑をおかけした少年課の刑事さんと5年前にお会いしたときの言葉です。家庭環境がどうであれ、教師は生徒を包み込み、多様な選択肢を教え、柔軟な発想を養い、その子が生き生きと「生きていられる」ように指導してあげて欲しいと切に思います。子どもを自殺に追い込む社会なんてやっぱりオカシイと思ってなりません。

愛着品紹介006-家宝、砧窯茶碗と恩師のこと-

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『恩師』と呼べる人は何人かいらっしゃいますが、私の人生で一番大きな影響を与えたのは中学1年の時の担任の先生です。中学の頃の記憶はもう朧気なものですが、この先生の一言一言は良く覚えています。私たちが先生の最後の教え子だったということも関係しているのかもしれません。私たちを1年間教えたら先生は定年退職されることになっていました。

一番最初の出会いはこうです。入学式が終わり、教室で緊張している私たちに向かい、身長180cmを超える背の高い先生が、教壇からにっこり微笑んでおっしゃったのは「小学生と中学生の違いはなんだと思う?」でした。皆戸惑っていると、笑って「電車の切符が大人料金になるんだよ。つまりもう君たちは大人だということだ」とおっしゃいました。大人への扉がギギっと開いたような気がしたのを良く覚えています。

先生の授業はいつも脱線の連続でした。不思議なことに脱線の内容の方が記憶に残るものです。事実、今思い出してもかなり際どい男女の関係について、怒りや暴力について、音楽や絵画、芸術の大切さについて、正しい行いとは何か。正しい事と悪事の境目はどこか。そして環境問題。あらゆる時代の先生の友人、教え子を例に取り、面白おかしく軽妙洒脱に本当に授業の時間が永遠に続けばいいとさえ思うくらいに楽しく教えて下さいました。理科の先生だったのですが事ある毎におっしゃっていたのは「理科は実用の学問である」でした。これは真実だと今になってようやく理解できるようになりました。しかし、とてもとても不思議なのですが、テスト前にノートを見ると、そこには教科書の内容が綺麗にまとめられているのです。あれだけ脱線して皆を笑わせておいて、どうしてノートができていたのかは今も謎です(笑)

テストも独特でした。「次の惑星直列が起こる日付を記せ」これが中1の1学期の期末テストの問題です。教科書に答えは書いていない、明らかに教育指導要領の枠組みを超えた問題です。さらに夏休みの宿題は「シダ植物を1ヶ月理科室に置いておいて世話しなくても育てられる仕組みを考えること。夏休み前にその仕組みを作り上げて理科室に設置すること」教職の単位を取る過程で(私は中学と高校の教員免許を一応持っています)シダ植物の教育が中学1年に盛り込まれているのは、性教育の側面があることを知りました。ですが、先生はそこから一歩踏み込んで、生命をどうしたら維持できるのか考えさせる問題としたのです。土、光、水、空気など、植物に必要なもの、生命を維持することの大変さ、命の尊さを学びました。そして先生の教師生活最後のテスト問題は「私の顔はどれでしょう?」と書いてあって音楽の先生、現代文の先生、数学の先生、体育の先生、校長先生らの顔写真がズラッと印刷してある中から、先生の顔を選んで丸を付けるという問題でした。テスト中に大笑いしたのはこれが最初で最後です。何たる粋で見事なフィナーレ!

一番私に影響を与えた一言は家庭訪問の時でした。当時1歳なるかならないかの弟がいたのですが、私の話はな〜んにもしないで、弟とばかり遊んでいるのです。母とは弟の育児について何やら話されていました。そして幾つか私の事に対する母からの質問に答えた後、先生はこうおっしゃいました「なぁ、kazumoto。君は将来嫁さんをもらいたいか?」「???ハイ。一応。」「じゃぁ、もっともっと勉強しないとダメだな」「何でですか?」「女性はね、良い遺伝子を持つ相手を伴侶に選ぶ。いいか男が選ぶんじゃない。女性が選ぶんだ。じゃぁ、良い遺伝子って何だ?見た目も重要かもしれない。腕力も一つの魅力だろう。でも、人間の最大の能力は『知力』だ。これが無ければ子孫を守り育てることができないからね。だからモテる為には、伸ばせる能力の中で一番有効な『知力』を伸ばすことが大切だ。つまり勉強することが重要なんだ。モテたいだろ?可愛い彼女が欲しいだろ?可愛い嫁さん欲しいだろ?だったらもっと勉強しなきゃダメだ」そう、私はモテたいが為に、この一言から勉強するようになったのです。なんと不謹慎なアドバイスだと思われるかもしれませんが、今思えば、反抗期で異性を意識し出すこの時期の子どもを勉強するようにさせるにはコレしかないと思えるアドバイスだと思います。この一言が、私の人生を変えた一言です。

先生が退職される時、私が生徒を代表して作文を朗読しました。もうその文章は記憶していませんし残ってもいませんが、当時の私は1ヶ月ほど、どういう言葉で恩師を送り出したら良いか、全力で考え、七転八倒して書き上げました。朗読が終わると、先生はマイクを通して全生徒に、「どうもありがとう」とおっしゃってから、私をぎゅっと抱きしめて「素晴らしい言葉たちだった。どんな境遇にあっても学び続けなさい。本を読み続けなさい」と耳元でおっしゃいました。思えば本を一生の友とするように導いていただいたのも先生でした。

卒業後も先生には節目節目で導いていただきました。

高校時代、先生に呼び出されたことがありました。後で知ったのですが、私のあまりの奇行・悪行ぶりに悩んだ母が、先生の言葉なら耳を貸すだろうとヘルプを求めたのだそうです。多摩川の川縁で、爆発しそうな思いを全て先生にぶつけ、先生には私の若く稚拙な思いに全力で応えていただきました。

大学時代には、論文を書くため、画集を借りに行き、芸術・音楽・美術と文学の関係性などについて語り合ったこともあります。理科の先生なのに、芸術に対して非常に造形の深い先生との話しは本当に知的好奇心を駆り立てる楽しいものでした。この時は「勉強しているじゃないか。前に会った時よりも大きく成長しているのが良く分かって安心した。」とおっしゃっていただきました。

最後に先生とお会いしたのは、家内と結婚する時。結婚前に挨拶・報告をしに行った時です。突然の訪問にも関わらず、最初にお会いしたのと全く変わらない朗らかな笑顔で「おめでとう。な、勉強はしておくモノだろ?良かったなぁ!」とおっしゃっていただきました。

先生から唯一をもらった「モノ」があります。先生が退職金で自宅に作られた窯で焼かれた『砧窯茶碗』という銘の茶椀です。我が家には家宝が2つありますが、その内の一つがこの茶椀です。平成9年のことです。いつもの笑顔で「形見分けだ」と笑って託してくださったこのお椀。このお椀は見る度に教師人生最後の1年を懸けて何を私たちに伝えたかったのか?卒業後、事ある毎に、先生はどういう思いで未熟な私に相対し、言葉をかけてくれたのか?いつでも胸を張って先生にお会いできるような生き方をしているか?と言ったことを無言で問いかけてきます。

私は非常に筆無精ですし、何よりとても先生にお会いできる生き方ができていないことから、結婚の報告後、全く連絡をしていません。が、昨晩、茶碗を見ていたら、何だか『会いに行け』と言われている気がしました。魂を込めて作られたモノには何かしらの力があると言います。「命に関わる問題が起こったら、起こらなくても、いつでもおいで」とおっしゃっていただいた先生。もう80歳を超えられていらっしゃいます。嫌な予感もしなかったわけではありませんが、勇気を振り絞って先ほどお電話をしたところ何ともお元気そうでした。来週お会いしてくる予定です。

報告すること相談すること話したいことが山ほどありますが、純粋にお元気な先生のお顔を拝見できるということにワクワク・ドキドキしています。私の人生の節目に必ず居合わせてくれた先生。最後の教え子が私のような不肖な者で本当に申し訳ないという気持ちの一方で、人と出会うという奇蹟の中でも、心の底から尊敬できる師に出会えたことは特別な奇蹟だと改めて思いました。さて、あと1週間、家宝の茶碗とにらめっこしながら、お会いして何を話そうか良く考えておくことにしようと思います。

愛着品紹介005ー時を柔らかくしてくれる砂時計ー

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GTDで提唱されているワークフローに「2分ルール」というものがあります。Inboxに入ってきたタスクが行動を起こすべきもので、且つ次に取るべき行動は1つであり、2分以内でできるものなら今やろうというルールです。

基本的に先延ばしをすることに奇妙な罪悪感を感じてしまう性格なので、入ってきたタスクの見極めをせず、「すぐ」取りかかっていたのですが、このルールを学んでからは、「これは何か?」という質問をする時間、段取りを考える時間を設けるようになってきました。

しかし、「これは何か?」を自問し、段取る時間についてGTDでは時間制限を特に設けていません。そのためヘタをすると延々と考えてしまい、「なんでこれは私がやらないといけないのかなぁ?」とか「これ意味のある作業なのかなぁ?」とか妙な方向に思考が行ってしまうことが間々あることに気がつきました。

これはマズイと思い「段取りは最大3分以内」という自分ルールを課して、タイマーを使ってみたのですが、タイマーのデジタル表示がピッピッと減っていくの様子に、すごく急かされている気がしてしまい、そっちがどうしても気になって、考えが上手くまとまらないという欠点があることがわかりました。

「DavidAllenさんはどうやっているのだろう?」と彼のオフィスを撮影した動画を繰り返し見ていて、彼のデスクに砂時計があることを発見しました。「これだ!」と思い、デスクに置いておいてもカッコ良くて、重厚なものではなく、見ていても焦らない愛らしいデザインの砂時計を探したところ、新宿のFrancfrancでこの砂時計を発見しました。計れる時間は丁度3分。カジュアルスタイリッシュをコンセプトとするFrancfrancらしく、この砂時計もスタイリッシュな仕掛けがあります。単に青い砂だけが入っているのではなく、ラメのような砂も入っているので落ちていく砂が時折キラキラと煌めき、見ていてとても綺麗なのです。

次から次へ押し潰さんばかりに降り注ぐタスク。まるでタスクが主人であるかのようです。それを管理する時間も、タイマーも、何というか”鋭利な時間”に感じます。しかし、この煌めく砂の落ちている間は違います。私が主人で、タスクを良く見て吟味する時間。謂わば”柔軟な時間”です。

時間に追い立てられているような気がしたとき、タイマーのカウントダウンが苦痛に思える時、是非、砂時計を使ってみて下さい。この古くからあるアナログな道具ひとつで、ぐっと時間が柔らかく感じられるようになると思います。落ちていく砂に見とれてしまう時があるのが玉に傷ですが(^^;)

【Crazy Busy】についての考察1:問題提起

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今日は本当に寒かったし、天気も思わしくなかったので、ほぼ一日中家で愛犬と遊んでたり、時折本を読んでみたり、基本的にダラダラ過ごしていました。先日書いた「忙しい」という事について、家内と色々話しをしていたら、家内がビックリする指摘を山ほどしてくれました。これはひょっとしたら凄い深いテーマなのかもしれないと感じました。

何にそんなにビックリしたのか。今回はそれらの一部を紹介します。

「忙しいってことだと、あなたが病気になった時にすごく良く考えた。病気になってくれて良かったとも思ったよ。超仕事人間だったじゃない?若いからできたんだろうけど(笑)家でケータイでお客さんと話してたり、徹夜仕事もしょっちゅうだったし、休みなんてホント無かったし、話しの中身はいっつも仕事のことばかりだったし、いつもイライラして攻撃的だったからね。休憩になんだろうなぁと思ったよ。その分、あたしは大変だったけどね(笑)」

「あなたはフォトリーディングの講座に行って、一時期気が狂ったように沢山の本を読みまくっていたじゃない?大事な20%をキャッチできれば、その本は読んだことになるんだって講座で教わったって言ってたのをスゴク良く覚えてるのね。その時すごく疑問に思ったんだけど、じゃぁ、著者が一生懸命書いた残りの80%は何なの?って。接続詞ひとつ取っても、著者はきっと吟味してその言葉を選択したんじゃないかと思うんだけど、それは不要なことなのかなぁ?って。最近は一冊をじっくり何度も読んでくれるから家計的にもラクになったけどね(笑)」

「携帯電話やノートパソコン、iPhoneを待ち時間にどこでも使えることは凄いことなんだと思うのね。仕事をしているから、その便利さはわかるのよ。でもケータイもパソコンもインターネットもE-Mailも、FAXも宅急便屋さんも無かった頃と比べたら、絶対に便利になっているはずなのに忙しさが増しているというのは奇妙なパラドックスだよね。」

「昔、家電三種の神器なんて言葉があったって言うでしょ?今、その三種の神器がない家庭って殆ど無いと思うのね。もっと便利なものいっぱい持っているでしょ。これって生活が豊かになったってことだと思うんだけど、でも幸せにはなってないってヘンだよね。みんないっぱい働いて、お給料もらって、買い物して生活を豊かにすれば幸せになれるって思っていて、それが動力源で働いていたって思うんだけど、まだ幸せじゃないなら、これ以上何が必要なのかなぁ?」

「携帯電話ってさ、どこにいても連絡がつくってことじゃない?何かいつも監視されているみたいな居心地の悪さみたいのを感じる時があるんだよねぇ。いつ頃から、いつどこに居ても連絡が取れるってことを、皆望むようになったんだろうね?しかも最近だと、電話に出ないと怒られる有様でしょ?E-Mailの添付機能なんて確かに便利だけど、昔はそれこそ郵便だったわけじゃない?でもそれでちゃんと仕事してたんだよね?もう想像もできないけど。」

「電車の中の光景を異常だと思ったことはない?みーんなケータイ弄ってるんだよ?電車の窓から見える看板とかさ、もう完全に広告効果ゼロだと思うもん。地下鉄なんてさ、駅に着いた途端にみんなメールの送信か、受信か、ホームに降りた瞬間に電話したりしてるでしょ?あれ絶対異常だと思うよ」

「最近、晩婚化とか少子化っていうでしょ?アレ絶対ケータイにも原因があると思うよ。今の若い子ってデート中でもケータイで取引先とメールしたりするんだって!考えられないでしょ?デート中だよ?この間会社の子に聞いた話しで、みんなビックリしたのが彼氏が枕元にケータイ置いてるんだって!(注:状況は察してください)でね、『その最中』にメール来たら見るんだって!全員で別れろ!って忠告したけど、もしかしたら最近の若い子ってみんなそんななのかもしれないよ〜。そんなんじゃ、少子化にもなるよね(笑)」

「エコはまだあるけど、ロハスって言葉はどこに行っちゃったんだろうね?スローライフってのもあったよね?ファストフードを批判してた雑誌もあったけど、ファストフードやコンビニは全然元気でしょ?オーガニックを売りにしてたお店で残ってるところあるのかなぁ?やっぱり『スロー』って今の世の中は求めてないのかな?『ファスト』じゃないと行けないのかな。ロハスは良い考え方だと今でも思うし、スローに生活したって良いじゃんって思うけど、世の中全体はそうじゃないから、雑誌も本も売れないから無くなっちゃったんだろうねぇ」

『忙しい』を友達が挨拶代わりに使ったことが、こんなにも広がるとは思いませんでした。もはや「忙しい病」や「ケータイ病」という立派な病気な様な気さえします。どこまでできるか全く分かりませんが、『忙しさ』の正体と対処法について考えたら、何が見えてくるのか、私なりに考察して、このブログの一つのテーマとして扱っていきたいと思います。(たぶん続く)

財布再考 - 憧れのHENRY BEGUELINがやってきた!

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あまりにも嬉しいのでエントリー(笑)誕生日プレゼントとして、悩みに悩んだ結果、「財布」をもらいました。

意外にも一部の方には好評をいただいている私のつたない愛着品紹介ですが、そのきっかけを与えてくれた@haTshさんに紹介していただいた松浦弥太郎氏著『日々の100』を読んで、一番ビックリしたのは、イタリアのハンドクラフトレザーメーカー「エンリーベグリン-HENRY BEGUELIN-」の財布が紹介されていたことです。実はエンリーベグリンは、ず〜っと前からいつか手にしたいと思っていた憧れのメーカーだったのです。人型のオミノという刺繍が施されている非常に美しい製品を完全手作業で職人さんが作るメーカーです。

『日々の100』で紹介されている良い財布の条件を少し長くなりますが引用します。
シンプルで、大きくて、上質で、しっかりとしていて、一歩下がったところから眺めてきれいと思うものがいい、と教えてくれた。(中略)お札の向きは必ず揃えること。できれば小銭入れは別に持つこと。ひとつの財布を二年以上使わないこと。(中略)最後に、これこそお金に不自由しない秘訣だ、とつぶやいた。
正直言って財布に頓着しなかった私なのですが、この文章を読んで、「そろそろ良い財布、一歩下がったところから眺めてきれいと思うもの、を持っていても良いのかもしれない。しかも紹介されているのは憧れのエンリーベグリン。偶然にも丁度、今の財布を使い始めて二年経つ。これは「持って良いよ」と時が教えてくれているのではないか?」と超勝手に自分に理由付けすることに成功しちゃいました。

今使っているCOMME ÇA DU MODE MENの財布は私が目指すウルトラライトな装備たる条件を全て満たしているナイスな財布だとは思います。(写真はコチラの記事にあります)しかし良い財布の条件は全く満たしていません。何しろ紙幣は三つ折りにしないと入りませんので、お金を大事にしているとは言えない感じがするのは否めません。そこで、『日々の100』の良い財布の条件を参考に理想の財布像を考え始めました。

長財布や二つ折り財布はウルトラライトを標榜する私としてはNGです。それ以外の選択肢として、要はカード入れに紙幣が入ればOKだよなぁと思いました。電子マネーが浸透しつつある中、今後は電子マネーとクレジットカードとお札で生活できるようになるはず。だったら、小さい小銭入れに鍵をドッキングさせておいてしばらく様子を見ることもできるなぁ。そんなことを考えて色々調べていると、何と!全く同じことを考えている人がいました!!ASCII.jp「T教授の「戦略的衝動買い」」というコーナーでエンリーベグリンのカード財布を紹介しているのです。そうそう、その通り!という内容!これぞ正に天恵!!

そして、今日、ついに辿り着いた結論がコレ。














メインはもちろん「エンリーベグリンのカード財布」これに紙幣数枚+カード5枚(PASMO・運転免許証・クレジットカード・T-CARD・病院のカード)を収納。

小銭入れは探しに探した結果、L.E.D BITESのB-9086に決定!










写真の通り、究極的に小さな小銭入れです。コイン10枚が限界(笑)でも生意気にコードバン革で作られてます。お見事!これにセキュリティーキーと家の鍵をぶら下げました。









エンリーベグリンは言うに及ばず、L.E.D BITESの小銭入れも一歩下がったところから見ても、コードバンが綺麗で小さいくせになかなか味があって可愛い。毎日が今までより少し気分良く過ごせそうです!

Crazy Busy!

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※画像はSTAKというWebSiteより拝借しました。素敵な写真満載です。

毎年楽しみにしている恒例行事があります。大学時代の悪友4人で年末に集まって、近況報告や昔話をしてバカをやるのです。もう大学を卒業してから10年以上経って、みんな家庭を持っても、子供ができても、尚、続いている行事で、ホントに楽しみなんです。

今年は私が幹事なので、今日、ついさっき、仲間3人に電話で連絡をしました。最近落ち込み気味だったので、仲間の声が聞きたかったからです。

私:「久しぶり!恒例行事の季節だよ〜!最近どうよ?」
友人A:「忙しくてさぁ。もう死にそうだよ〜」
友人B:「バカみたいに忙しくて嫌になるよ」
友人C:「仕事が大変でさ、マジで忙しいよ〜」

いつから「最近どうよ?」の答えが「忙しい」になったのでしょう?昔は「まぁまぁだね」とか「何とかね」とか「元気元気」とかだったように記憶しています。鬱で落ち込んでいたときの私でさえ「何とかね。とりあえず大丈夫」と答えていたというのに!

自分にとって大切なことをして忙しいならそれは結構なことですがそうじゃない。みんな一様に元気がない。望みもしない忙しさに追われて毎日過ごしてるのに、何が原因か検証する時間すらないくらいなので、何に忙しいのか何で忙しいのかもわかっていない。

現代社会はまるで、神ですらできないであろうことができるようになったかのように錯覚させます。さらにその幻想を後押しするガジェットも次から次へと出てきます。便利になればなるほど、「忙しい」が挨拶語になるというのは何故でしょう?おかしくないですか?便利になったら時間ができて、大切な人とハッピーに過ごせるはずじゃないですか?

何で読んだのか覚えていませんが、ユダヤ教の指導者はこう言っているそうです。
「幸せとは欲しいものを手に入れることではなく、持っているものを慈しむことから得られる」
仕事は激務だったとしても、休暇の日を、ゆっくり味わい、楽しむように過ごせていますか?

好きではないライフスタイルの言いなりになっていませんか?

欲しくて欲しくてしょうがなくて、ようやく買ったものを愛でる時間は持ありますか?

忙しさのあまり、何が本当に大切なのかを決める時間も無くしていませんか?

この激流のような社会から逃げ出して山や森の生活に逃げたとしても、そこにさえ観光客が忙しくやってきてしまうのかもしれません。古き良き時代と年長の方がおっしゃる時代にももはや戻れないでしょう。この現代社会という高速道路にはSAもPAも迂回路もなさそうです。でも走る速度くらいは自分で決められるはずです。もうちょっとゆっくりやりませんか?Crazy Busyな生活とそろそろお別れして良いのではないでしょうか?ほら、足元の地球も悲鳴をあげてるじゃないですか。

「一日に何回"忙しい"と言ったかを意識しろ。言った分だけ、幸せから"確実に"遠のいている。気をつけろよ。」
最初に転職する際、師と仰いでいた方に言われたこの一言が非常に重く感じられました。

愛着品紹介004-家具のようなオーディオ Tivoli Audio / Model One Radio-

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ラジオを聞くようになったのはいつ頃だろう?ずっと考えているのですが、いつも何かしら音楽が流れている家だったので、だいぶ小さい頃であることは間違いないと思います。

小学校5年生あたりで、随分ませた音楽を聴いていました。同級生が当時のアイドルについて、どうのこうのという話しをしているのを横目に、エレクトーンを習っていたこともあり、クラシック音楽を始め、Michael Jackson、THE BEATLES、RollingStones、Prince、YMO、Ryuichi Sakamoto、等々を聞いて、一人悦に入っていたことを覚えていますし、当時は洋楽(って今も言うのかな?)をラジオで聞くことがカッコイイことだと思っていました。

当然、オーディオ機器にもハマりました。振り返ってみると、SONY、ONKYO、DENONあたりを持っていました。JBLのスピーカーとマークレビンソンのアンプなんて組み合わせに(今も)憧れはしたものの、まぁ、当然手が出ませんよね(笑)

結婚したときに持っていたのはSONYのオーディオセットでした。結構良い音をさせていたのですが、いかんせんインテリアにあわないのです。ステレオの臨場感をじっくり味わうことも少なくなりました。家内と二人で居るときの旋律のメインは「家内との会話」であって、その他の音は所詮BGMでしかないのです。となれば、部屋に合うスタイルで、そこそこ良い音が鳴り、気分良く手軽に使えるものを探そうということになりました。

これまたあれこれ探しに歩いたのですが、最終的に行き着いたのが、このTivoli Audio/Model One Radioでした。この何とも言えないレトロなスタイリング。ハンド・メイドの木製キャビネットの温もり。バスレフ型3インチスピーカーを1発搭載しているだけ(当然モノラル)大小2つのダイヤルと、スイッチが1つだけの簡素な作り。でも、ちゃちなステレオスピーカーよりも断然綺麗な音を流してくれます。スピーカー、アンプ、チューナーを1つにまとめただけの妙な主張をしないコンパクトなデザインなので、家の何処でも置けます。 「これだ!」と気に入って即決しました。

使ってみると、このオーディオは長時間聴いていても疲れないんです。これは驚きでした。iPodをつないで(AUX端子はあります)聞いていても、人の声がとっても聞き取りやすい。おそらく響きのバランスが良いのでしょう。さらに受信感度が超高性能。こんな波長で放送してたんだ!?と驚くようなものも拾ってくれます。(まぁPerfumeのようなサウンドは全く向いていませんけどね(^^;))

つまみをクイっとひねるだけですぐ豊かな音を聞かせてくれる、この小さな名器は、毎日我が家の会話のうしろで心地よい癒しの音を鳴らし続けてくれています。

愛着品紹介003-"初心"のモンブランー

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新品のモンブランを携え、上司に報告すると、にやっと笑ってお客様へ電話をし、即時同行訪問することになりました。お客様の元へ着くと、挨拶もそこそこに上司はこう言いました「いただいた宿題の答えをお持ちしました。彼なりに真剣になって探した回答です」上司に促されるまま、真新しいモンブランをお客様の前に置くと、お客様は、にっこりと実に嬉しそうな笑顔をして、「契約書を持ってきているかい?」と言い、その場でそのモンブランでサインをしてくれました。そしてこう続けました。

「うん。実に気持ちの良い買い物ができたよ。どうもありがとう。」

きっと狐につままれたような顔をしていたであろう私をじっと見据えて、お客様はこう言いました。

「仕事のクライマックスである契約の時に使われる道具は今も昔も筆記具だ。ココが疎かでは画竜点晴を欠くことになる。特に大きな仕事ではね。最後のサインをする道具はお客の背中を押してくれる良い物でないといけないんだ。このペンはとても良い選択だと思う。何処に出しても恥ずかしくないペンだ。きっと今の君には高価な買い物だったろう。けれど一所懸命に探して辿り着いた本物というのは凄くてね、自信にもなるし、いざというとき自分を支えてくれる。そして本物は手入れを怠らなければ何年でも使える。君の仕事の大事な大事なパートナーを最初に使えたことは光栄だし、本当に嬉しいよ。」

帰り道に上司にたまらず聞きました。

「何故、ボールペンだったんですか?」
「万年筆が良いと思ったか?ボールペンを出してダメと言われたんだ。その敵はボールペンで取らないとなぁ(笑)何より万年筆というのは扱いがとても難しい。若い身で持てる道具じゃない。お前の歳で持っていたらそれは逆に野暮というものだ。だからボールペンという条件にしたんだ。万年筆を持つにふさわしい歳になったら、きっと持って良いよと時が教えてくれる。」

続けて、上司はこう言いました。

「ありがたいだろう?お客様というのは。買ってくれるだけでもありがたいのに、お礼まで言ってくれて、しかも自分を成長させてくれるんだ。そのペンは大切にしなさい。仕事で困難にあたったとき、そのペンを出して、今のお客様とのやり取りをよ〜く思い出しなさい。今の場面が、やり取りが、そのペンのデビュー戦が、お前の”初心”だ。そこに立ち会えて俺も嬉しかったよ。」

以来、このモンブランは私の中では特別な筆記具です。普段使いにはしていません。「さぁここからだ!」という仕事の始まりの時、「ここぞ!」というクライマックスの時に使う特別なパートナーとして、そして仕事で迷ったとき”初心”を思い出すタイムマシーンとして、今も全力で私を支えてくれています。時はまだ万年筆を持って良いとは言いません。しかし時が良いと言ったとしてもこのモンブランは私の特別なパートナーであり続けるでしょう。

あえて不快適な環境を作るという『逆HACK』の紹介

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※写真のテンキーは私の使っているものではありません

仕事に求められるものというのは様々だとは思うのですが、概ね「速さ」か「正確さ」かの2つに大別できると思います。特にルーチンワークになるとその傾向が強いでしょう。当然「速くて正確」であればそれに越したことはないのですが、速さを追求するとミスが増えるし、正確さを追求すると遅くなるというのは、ちょっとしたジレンマです。

しかし、こと数字を扱うルーチンワークでは「速さ」より「正確さ」を優先すべきだというのが私の結論です。

実例を挙げると、私のルーチンワークの中に、海外の取引先からのINVOICEをEXCELに手入力して一覧表にするというタスクがあります。お金に関することは間違いが許されないので、毎回注意してはいるのですが、2ヶ月ほど前に2件ばかし立て続けにケアレスミスを犯してしまい、先方にも迷惑をかけることになってしまいました。

原因を分析したところ快適に速く入力するため、ノートPCにフルサイズのキーボードを外付けして、さっさと終わらせることを主眼においていたのですが、この「快適な入力環境」というのがミスを引き起こす原因ではないかと考えました。

佐々木正悟さんのセミナーに出席していると、毎回「注意を向ける」という言葉が出てきます。これに習うと、快適な環境に慣れて、注意が散漫になっていることに起因しているといえそうです。だったら、嫌でも注意が向くような仕掛けを施せば解決するのではないかと思い、フルサイズの快適なキーボードではなく、小さな入力しづらい外付けのテンキーを買ってきて、これで入力するようにしてみました。

このテンキー、本当に入力しづらくて、とくに「0」の位置が私の親指で押すと、筐体にひっかかり、ちゃんと入力できないのです。スムーズに入力できないので、嫌でも正しく入力できているのか確認せざるを得ません。結果、入力ミスはゼロになりました。

むろん「速さ」はトレードオフの関係にあるわけですが、これは多めに時間を割り振ることで解決するようにしました。この業務には多めの時間がかかると見積もるようにしわけです。つまりその仕事に求められているのが「速さ」なのか「正確さ」なのかを”きちんと見極める”ことが要する時間を見積もる上で重要だと言えると思います。

正確さを求められるルーチンワークに慣れてきてミスが続いた場合、あえて今までとは逆の不快適な環境を作って、注意の方向性をコントロールするという、通常のLifeHackとは真逆の方法も、一考に値するHackではないでしょうか?

工夫して近道を作るのがLifeHackの王道ですが、"本筋を逸れない工夫"もまたLifeHackのひとつなのではないかと思います。

快適な環境でミス無く出来ればそれが一番良いんですけどね(笑)

愛着品紹介002-桜の靴べら-

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両親に感謝していることは何?と問われたら、私はこう答えます。「子供の時分にとても良いお店に連れて行ってもらえたことです。」と。

デパートのレストランとかではありません。ホテルの最上階にあるお店だったり、赤坂や神楽坂の裏道をちょいと入ったところにある料亭だったり、市ヶ谷あたりの裏道に慎ましやかにある小料理屋さんだったり、カウンターにネタが並んでいない料金表もないお寿司屋さんといった、所謂一流のお店です。

子供であってもちゃんとジャケットを羽織り、革紐靴を履き、よそ行きの格好でお店に行くというのがとても好きでした。またそういった一流のお店は子供だからといってサービスの質や品を落とすようなことは絶対にせず、一人前の大人の男として扱ってもらえるので毎回、何とも誇らしい気持ちになったことを覚えています。

私は特に小料理屋さんや、料亭が好きで、なかでもお店を失礼する時のやり取りが大好きでした。上がり框に腰を下ろし、革の紐靴に足を入れようとすると、女将さんや女中さん、下足番の方が絶妙なタイミングで「どうぞ」と靴べらを渡してくれるのです。歴史のあるお店の靴べらは決まって長くてガッシリしていて、黒光りした木製で、とても滑らかにスルっと靴に足を納めてくれます。長年使い込まれた靴べらのもたらす、この官能的と言っても良い感触は筆舌に尽くしがたいと今でも私は思っています。

そんな経験があったので、「自分の家の玄関には素敵な靴べらを置きたい」と密かに決めていました。現在の住まいを購入した際、家内にその旨を話すと、「どうせなら絵になる靴べらを探しましょう」と言ってくれ、靴べら探しが始まりました。

方々を探し回った結果、茗荷谷にある木工屋さんでこの靴べらと出会いました。ひとりの職人さんの手作りであり、台座の球が愛らしく見た目に美しいこと、持ち手部分の作りも最小限で美しく艶めいていること、何より靴べらとしての滑らかな使い心地。使っている木は何ですか?と聞いたところ「桜」だと言います。毎朝・毎晩、自宅の玄関で見送ってくれ、お帰りと言ってくれるものが「桜」というのは、とっても贅沢なことに思えて即決しました。

以来、あくまでも控えめにいつもそこに居てくれて、特に帰宅した際は、毎回「ああ、いい景色だな」と日々の生活の中で一服の安らぎを味わわせてくれる、殺風景な我が家の玄関の"華”として毎日活躍してくれています。写真の通り、ウチの愛犬も結構好きみたいです(笑)

愛着品紹介001-OMEGA Seamaster PROFESSIONAL-

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11月5日は34歳(まだギリギリ四捨五入しても30歳代!)の誕生日だったのですが、@haTsh さんからとても素敵な本を紹介してもらいました。
この本に掲載されている品物は全て松浦氏の私物で、その私物のフォトに随筆が添えられています。品物に対する愛情、愛着がひしひしと伝わってくる名著でした。@haTshさん、素敵な誕生日プレゼント(?)をありがとうございます。

この本に触発されて、お粗末ながらも私の日々の愛着品を(不定期で)綴ってみるのも面白いかもしれないと思い、そんなものにも手を伸ばしてみることにしました。身の回りのモノを見直す契機になるかもしれませんしね。

【OMEGA Seamaster PROFESSIONAL】
最初に紹介するのは、ONの日のマストアイテム腕時計です。新卒で採用された会社で最初のボーナスをいただいた時に、祖父・祖母へちょっとしたプレゼントを持っていきました。そこの際、今は亡き祖父にこう聞かれました。
「Kazumotoはどういう人生を歩みたいんだい?お金持ちの人生を過ごしたいのか?それとも豊かな人生を過ごしたいのか?」
「うーん、どっちも捨てがたいよねぇ」
「どちらを選ぶかによって決まるけれど、お金持ちになりたいなら、とても良い財布を買いなさい。豊かな人生を選ぶのであれば、とても良い腕時計を買いなさい。」

何でかなぁと思いつつ尊敬する祖父の助言だったので、財布売り場、腕時計売り場を歩き、どっちにしようかしばらく迷っていました。後年、ひょんなことから、私の中の理想の男性像のひとつであるJames Bond(当時はピアーズ・ブロズナン)が映画の中で身につけている時計がOMEGA社のSeamasterであることを知り、ミーハーな私は、当時では明らかに背伸びしすぎで、とても高価なこの時計を大奮発して買うことに決めました。

その後、ペーペーの身でありながらも、この腕時計を見た年長のお客様は一様にこの時計に興味を示され、「祖父からアドバイスを受けたので」と答えると、皆さん大きく頷かれました。色々時計に関する蘊蓄を聞くことができたのも良い経験です。

その中でも、一人忘れられないお言葉をいただいた方がいらっしゃいます。某企業の社長さんなのですが。「非常に含蓄のある助言だと思うね。それはね、豊かな人生を送る秘訣は時間を大切にすることが肝要だからなんだよ。逆に真のお金持ちというものは、財布を大事にするというのもまた本当だよ。お金は大事に扱われたがるからね。でも財布ではなく時計を選んだということは君の今後の重要な指針になるはずだから、その時計を見るたびお祖父様がおっしゃられた意味を思い出して良く考えるようにしなさい。」

最初の選択を誤ったからか、お金持ちにはなれていませんが、時間を大切にした結果、若干谷はありましたが、夫婦円満で、たくさん笑っていられる豊かな人生を過ごせているのは、この時計を選択したおかげなのかなと思います。代替わりしたJames Bond(ダニエル・クレイグ)も、OMEGAのSeamaster−デザインは少し変わりましたが−を愛用していることからも、この時計はどんな場で身につけていても恥ずかしくない、私が所有している中では数少ない"本物"のひとつだと、祖父の助言に感謝しつつ、密かに誇りに思っています。

これはLifeHackなのかな?ーアテンションカードの紹介ー

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今日のシゴタノに掲載された佐々木正悟さんの記事を読んで、反射的にエントリー。

どこに反応したかというと、
人との約束をスケジュール。期限付きのタスクは、外部ツール。そこまでは容易です。しかし、たとえば「今度から人と会うときには名刺を持つようにする」というのはタスクでしょうか? タスクでないなら、なんでしょう? ミッションでしょうか。心がけでしょうか。

この部分です。
私自身は毎朝、普通の事として行っているので、これがLifeHackなのか、そもそもこの佐々木さんの問いかけに対する答えになるのかどうか非常に怪しいのですが、『アテンションカード』と私が呼んでいるものがあります。(単にこの方が格好良さそうだからそう呼んでるだけ(笑))

何をするカードなのかというと、先般のエントリーで書いたとおり、私の仕事はルーチンワークが多いのですが、その中でも「あれを先に準備しておけばラク」とか「定例の会議だからプロジェクター準備しとかなきゃ」とか毎週木曜日は通院日なので「病院のカードと保険証を持って行く」とか、つい忘れがちな些細な注意点を書いているカードです。ちなみにカードは名刺サイズのコレクトの情報カードを使ってます。↓こんな感じです。

これらのカードの使い方は以下の通り。
  1. 毎朝スケジュールを確認するのと同時にその曜日のカードに目を通す
  2. その曜日のカードはモレスキンのポケットに入れて出社
  3. 会社のPCの起動待ちの間にカードをデスクマットの下に並べる
  4. 帰宅したら、所定のNEWの所に挿入
  5. 毎週金曜日の夜、週次レビューの際にNEWを所定の曜日に挿入。
     習慣化したのは削除する。
これだけです。会社ではデスクマットの下に並べているので、イヤでも目に入ります。呼び名(勝手な命名ですが)の通り、私に注意を促すためだけのカードです。

タスクじゃないし、ミッションでもないし、心がけでもないし、単なる注意した方が良い事項を忘れないようにするために毎朝必ずやっています。私にとってはうっかりミス防止の工夫です。カードだとズラッと並べられて俯瞰できるし、習慣化したものは捨てればOK。意外に応用が利くので私は重宝してます。佐々木さんの記事を読んで、もしやこのやり方って他の人にも使える技なのかもしれないと思った次第です。

先日@nijinochichiさんのブログ「Ideas 4 Life」で「具体的なことをシェアすること」についての記事(僭越ながら私の例を取り上げていただきました。感謝!)がありましたので、このちょっとしたやり方も何かの役に立てれば幸いです。