愛着品紹介007-伊豆の貝殻-

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人生で初めて、親族以外の人からもらったプレゼントというのを覚えていますか?もしくはいまだに持っていますか?

幸運なことに私の手元には、生まれて初めて女の子からもらったプレゼントがあります。

それが写真の『貝殻』です。

綺麗な小箱の蓋の裏には几帳面に母がこう書いてくれています。

S55.8.20 早川陽子ちゃんからプレゼント
-伊豆の海でひろう。初めて女の子からもらったプレゼント-

昭和55年の誕生日前なので、わずか4歳で女の子からプレゼントをもらったことになります。マセガキですね(笑)父の仕事の関係で引っ越しばかりしていたので、こう書いてくれていても、どこに住んでいた時のことなのかわかりませんし、プレゼントしてくれた早川陽子さんの顔も声も記憶にありません。

しかし、29年経った今も、貝殻はちゃんと貝殻の形のまま、貝殻が割れないようにと敷いてくれたティッシュペーパーも色染みはありますがそのまま、母の書いた鉛筆の文字もそのまま、私の手元に在ります。

幾度となく引っ越しをしているにも関わらず、不思議と無くさず、今も私の手元にあり、小箱の中にちょこんと入っているこの貝殻は私の宝物です。

たまにパカッと箱を開けてみて「どんな子だったんだろうなぁ?」とか「伊豆のどの海でどういう風にプレゼントされたんだろう?」とか、一人であれこれ空想(妄想?)してしまいます。そしてひとしきりそういう空想をした後は、何とも心がぽかぽかしてあったかい気持ちになれます。肩の力が抜けて、ホッとしたなぁと実感できるのです。

子どもの頃の持ち物が手元に残っている人は少ないかもしれませんが、もしランドセルや、上履きや、体操着。道草ついでに拾った石や葉っぱ、少し大きくなってからの交換日記、ラブレター等がもし手元にあれば、たまにで良いので触れてあげることをオススメします。ちょっと触れるだけで、心は過去へフッと旅に出ます。ひとしきりして今に戻ってきた時には、天気の良い日に干した布団を嗅いだときのような、ほんのりあたたかいパワーに満ちた心になっていると思います。

持ち物を大切に。持ち物が帯びている物語を大切に。自分だけのアンティークを持っているというのはとても贅沢で幸せなことだと思います。

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