愛着品紹介008-定番三種「鉛筆」「消しゴム」「ナイフ」-

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※数名の方へ。愛着品のメーカー名を間違えるというあり得ないミスしてごめんなさい。

手を使って考えるときには必ず使う3つの道具があります。
「鉛筆」・「消しゴム」・「ナイフ」です。

鉛筆は三菱鉛筆社のuniシリーズの末弟(一番安い)「uni star」を。消しゴムはトンボ鉛筆社の「MONO消しゴム」を。ナイフは会社では「肥後守」、家では「OPINEL No.8」を使っています。

鉛筆の究極は「6Bの黒さで9Hの硬さで滑らか」なものだそうです。つまり、深みのあるしっかりとした黒色と折れにくい硬い芯を両立させ、且つ滑らかな書き心地のものが究極。言うのは簡単ですが、これが非常に難しいのことなのだそうです。三菱鉛筆社はこの究極を追求し、究極に限りなく近い製品を生み出した数少ない会社の1つです。

また、三菱鉛筆の鉛筆は、どことなく日本の伝統を感じさせつつ高級感を醸し出す、茶色とも臙脂色ともつかない不思議な塗り色をしています。(あれは何色というんだろう?)あの独特の色は、ステッドラーのブルー、ファーバー・カステルのグリーンと並んでも全く遜色ありません。

また、商品名の「uni」というネーミング。英語の“unique”に由来し、フランス語では「滑らかな」という意味も合わせ持つ言葉を選択するというこだわり。少し丸みを帯びた優しい印象のロゴデザインも秀逸です。

黒芯の開発以外は日本屈指の工業デザイナー秋岡芳夫氏が手がけた仕事なのだそうです。工業デザイナーでありながら大量生産、大量消費社会に疑問を呈し続け「暮らしのためのデザイン」を信条とした秋岡氏の作品の中でも、渾身の作品のひとつと言って良いだろうと私は勝手ながら思っています。ファーバー・カステルやステッドラーは雑誌などに良く取り上げられますが、暮らしに完全に溶け込んでいるuniが取り上げられることはあまりありません。これぞ「暮らしのためのデザイン」たる証しだと思います。

uniシリーズと双璧をなす製品としてトンボ鉛筆社のMONOシリーズがあります。甲乙付けがたいのですが、単純に秋岡氏が手がけたという一点に於いて、どちらかと言えば私は三菱鉛筆社を支持しています。

鉛筆では私に選ばれなかったトンボ鉛筆社ですが、消しゴムはトンボ鉛筆社の「MONO消しゴム」が最高だと私は思っています。欧米の消しゴムはたとえ有名メーカーのものであっても、とにかく「消えない」のですが、MONO消しゴムであれば「消える」からです。これは、塩化ビニール製のプラスチック消しゴムというのは日本発の技術であり、欧米では今も昔ながらの天然ゴムを主な素材とする消しゴムが作られているからでしょう。日本製の消しゴムと比べて欧米製の消しゴムが驚くほど消えない(日本語の用法正しいですよね?)のは、素材そのものも製造方法も根本的に違うということです。だから消しゴムは日本のものに限ります。MONO消しゴムはその代表格。何よりMONOというロゴを見た瞬間、消しゴムを連想するまでに「暮らしに溶け込んだデザイン」となっていることはスゴイことです。

最後にナイフ。鉛筆削りでゴリゴリ削るのもラクだし好きなのですが、亡き祖父から私が小学校に入学したときに「鉛筆はこれで削りなさい。刃物が正しく使えない男は男じゃない」と肥後守をもらった影響です。鉛筆はナイフで削るものだと結構長い間思い込んでいました。「クラスのみんなの鉛筆はすっごい綺麗に削れてる。みんなナイフの使い方が上手いんだなぁ。練習しなきゃ!」と思ったものです(^^;)

バタフライナイフの事件が起こるまでは、別に持ち込み禁止でも問題でもなく普通に学校でもナイフで削っていました。メンドクサイなァとも思った頃もあるのですが、シャッシャッっと無心で削っている時間を豊かな時間だといつの頃からか思い始めました。あの削られた木と黒芯の、ほのかな香りも好きで何かホッとするのです。まぁカッコイイこと言っても、鉛筆削りの腕前が特別に良いわけでもないことは写真の通りですけどね(^^;)

祖父からもらった肥後守はもう手元にはありませんが、今は少し大振りなものを会社では使っています。オピネルNo.8は元々はアウトドア用に買ったのですが、「フランスの肥後守」と言われるだけあって、安価なのに使い勝手が良いし、デザインもグリップが木製で、日本の肥後守よりずっと家庭的な印象なので、自宅用にしています。ただし刃の付き方が日本の肥後守とは違うので削るのにコツを要するのが難点です。

文具に関する本は良く見かけますが、パッと見はカッコ良くてもいざとなると使えないものも中にはあるのが残念ながら事実でしょう。その点、ロングセラー製品、定番製品というのは一見地味でも、確実に使えるものしか残らないはずですから、実戦で必ず使える信用のおける製品と言い換えることもできると思います。

どうやら私は「お主、地味だが、なかなかちゃんとやりおるの~」という感じの生活に溶け込んだ製品が大好きのようです(笑)

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