あなたのマナーは大丈夫?-書評-『平林都の接遇道』

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「あなたは人に対して、相手に届く礼を尽くせているか」これがこの本の主題です。本になるきっかけになったらしい、フジテレビ「エチカの鏡」で著者の特集を組んだときのDVDを家内が借りてきてくれたので見たのですが、確かに教え方はとっても厳しい。ちょっと引くぐらいの厳しさです。しかし、著者の厳しさは理由もなく高圧的に言っているのではなく、心底理解して欲しいからあえて言っているんだなぁと思えるものでした。

私も新卒で入った会社では、マナー研修を受け、外部のマナー研修にも数回参加したことがありますが、この本を読むとただただ恥じ入るばかりです。その頃の研修資料を見直してみたのですが、まぁ、できていないことできていないこと。

さすがに社会人生活も長いですから、最低限の部分はできているだろうと思っていましたが、本書で解説されている、「ちゃんとした礼」ができていないことは、ちょっとしたショックでした。私の会釈は会釈じゃないし、私の礼は礼ではありませんでした。ただ頭を下げれば良いものではないと頭では分かっていても身体が分かっていないということを痛感させられました。

辞書を引くと接遇とは「もてなし・接待・あしらい」とありますが、著者はもっと重い意味合いのある言葉だと言います。曰く、「仕事場はあなたの舞台」なのだから、「清掃と身だしなみ」を徹底し、「礼と挨拶と言葉遣い」に神経を配り、「自ら行動すること」でその言葉を裏付け、お客様に「残る満足」を与えなければならない。なぜなら「企業は「できない人」で評価され」てしまうのだから。接遇ができているかいないかで、企業の評価も自らの評価も大きく違ってしまうのだと。

道徳や礼節、躾というものは、誰もが家庭で学校で教わったものだと思いますが、本来はここまで徹底しないと身につかないものなのだと再認識させられます。

病気のせいなのか、それまで比較的得意だった人と相対することが今では大の苦手になってしまいましたが、交渉上手の営業マンの様なトークやカッコよいプレゼンはできずとも、身だしなみや仕草、挨拶、言葉遣いに気をつけることによって、少なくとも「アイツはちゃんとしたヤツだ」と思ってもらえるようにはできるかもしれないと、少し勇気をもらえました。

さらっと読める本ですが、日頃の自分の振るまいを念頭に置いて読むと、意外と多くの気づきが得られる一冊だと思います。

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