反逆児の仕事術007-変人が世界を変える

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新卒で採用された会社は、こんな私を採用するくらいですから、皆様の予想通り(?)かなり個性派揃いというか、灰汁の強い人が揃っていました。もう明らかに変人という人も揃っていたと正直に告白しておきます。私の変人っぷり、反逆児っぷりは、この会社の多くの変人の先輩方に鍛えてもらったおかげだと思っています。

新人研修というものは、大体の会社でやると思いますが、大抵つまらないものです。しかし後から考えるとあの時真面目に聞いておけばと後悔するものでもあります。そんな研修の中で一人だけ、一瞬で私を前のめりにさせた人がいました。

自分の名前をハレパネにでっかく貼って、まるでサンドイッチマンのような格好で登壇したその人は、開口一発こう質問してきました

 
「宇多田ヒカルを知ってる人!」

ファーストアルバムが出るか出ないかの頃ですから、まさに時の人です。当然全員知っています。全員が手をあげました。すると

 
「宇多田ヒカルという名前を聞いて何か閃いた人!」

有名アーティストの名前を聞いて何が閃くと?私を含め全員が困惑していると、

 
「宇多田ヒカルという姓名を逆にすると『光る歌だ』になるんだ!凄いだろ?」

と得意気に言い放ちました。みんなドン引きしていたのですが、私はのめり込みました。そんな発想をしたことがなかったからです。何と面白い人がいる会社なんだと、強烈なインパクトを残していきました。


数年後、私はこの大先輩とタッグを組んで、長きにわたるプロジェクトをこなしていくことになりました。このプロジェクトは正に戦場とも言っても良いくらいに過酷な仕事でした。このプロジェクトには武勇伝から愚痴まで沢山の思い出がありますが、まぁそれは置いておいて、今回はこの大先輩の話です。

当然タッグを組んですぐに聞いたわけです。研修の宇多田ヒカル事件のことを。あの真意はなにかと。回答はこうでした。

 
「仕事ってのは教科書通りやっていれば良いってもんじゃない。人とは違った角度から世界を見なければ世界はいつまでも同じまんまだぜ。それじゃ面白くない。小さい世界で考えたらダメだぜってことを伝えたかっただけさ」

この台詞には痺れました。この大先輩の仕事の全てを学ぶべく、脇目も振らずその背中を目指して追い続けて行ったことによって、私の反逆児濃度は一段と濃くなっていったのだと思います。

また、この人は事ある毎に、私に"突拍子もないアイデア"を求めてきました。図面を書いて持って行くと、10回に8回はこう言われるのです。



「良いプランだ。さて、これの面白いところはどこだい?」

どこかに「面白さを盛り込め」というのが、大先輩の仕事の基本方針でした。曰く、


「誰がやっても同じ仕事じゃ面白くない。普通ってのが一番つまらない。エリート様が見たら怒り出すくらいの面白さを盛り込まなければ、俺ら変人が仕事をする意味が無い。エリート様が思いつかないアイデアを出すことに俺らの存在意義がある。」

仕事に楽しむという要素があることを、私に教えてくれたのはこの大先輩です。そしていつも人とは違った角度から物事を見るように躾けてくれたのもこの大先輩です。突拍子もないアイデアを自信たっぷりに述べるように訓練してくれたのもこの大先輩です。変人呼ばわりされることをむしろ誇らしく思うように鍛えてくれたのもこの大先輩です。

長きにわたるプロジェクトが終わったそのすぐ後に、私は転職の決断をするのですが、退社の日、この大先輩から「賞状」をもらいました。号泣ものの内容なのですが、その賞状の最後の言葉が何より素敵でした。

 
「戦友よ、この言葉を最後に君に贈る。
 変人が世界を変える!お互い死ぬまで変人でいよう!」

思えば、世界を変える大発見や大発明、大仕事を成し遂げた偉人たちは、皆旧来の世界の枠からはみ出た人です。普通では世界は変えられないし、枠を壊せないのです。反逆児が反逆し続ける意義はココにあります。この世界は私たち反逆児には狭すぎるのです!ひょっとしたら私たちは今まさに世界を創造している最中なのかもしれません。

今もこの大先輩は毎年「年賀状」で私に変人魂を注入し続けてくれています。冒頭の画像は2007年猪年の年賀状。「戦後」はこういう見方もできるのですね。言われてハッとしませんでしたか?

反逆児=変人であるあなたが飛びっきりのアイデアを出した時、もし「前例がない」とか「上手く行くわけがない」と言われたらこう考えるクセを付けましょう。

「凡人がダメ出ししたから、これは本物のアイデアだ!!」ってね!

変人、万歳!

2 コメント:

Shinya さんのコメント...

こんばんは。
激しく同意で、まさに今私が実践している事と同じで、うれしくなりました。
静かな湖は、周りから見るととても心休まるけども、実際は流れが止まっているに過ぎません。そして、新しい水も流れ込まず、古い水も流れ出ない湖は、日照りで塩田になるか、藻が生えるか、ガラパゴスのイグアナのように生きた化石のような魚のみが生きれる場所になります。
だから、静かな水面に石を投げ入れる人間が必要です。それはサラリーマン道からは大きく離れますし、ストレスは貯まりますけど、私は、今、この場所で、与えられた条件において、私という人間が担うべき役割として、そのような人間として生きています。
応援してます!!

虹の父 さんのコメント...

変人大好き!
世の中変人ばっかりになったら、変人が普通になります。そうなったら、今でいう普通に戻りましょう!そうしたら、また変人になれます。

私も、ずっと変人でいたいです。