思考断食のススメ

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人間の人間たる所以は「考える能力」にあるという人がいます。いわゆるパスカルの言うところの「人間は考える葦である」ってヤツですね。確かに人間だけが考える能力を有していたが故に、他の動物を絶滅させたり、環境問題を引き起こしたり、果ては宇宙にまでゴミを出しちゃって迷惑かけているわけです。考える力も考えものだと思います。

それはさておき、最近は特に「情報」の入手が容易ですし、隙間時間も何かしらの情報と接しています。電車に乗ってても、目は何とはなしに、中吊り広告を追っています。
当然、情報に触れた際には最低でも「それは注意を向ける必要が有るか否か」と脳は考えるでしょうから、今の私たちの脳は常に考えている状態で、休み時間というものは無いのかもしれません。
睡眠時が唯一休んでいる状態なのかもしれませんが、私は睡眠というのは脳のデフラグだと思っていまして、起きている間に入手した情報を最適化しているんだろう、つまりせっせと断片化した情報を並べ替えているのだろうと思っています。この正確性は兎も角、少なくとも夢を見たりするわけですから、どうも休んでいるわけではないと言えそうです。

情報の遮断をすすめる書籍もありますが、現代社会において情報を一切遮断することなど至難の業でしょう。でも周囲の人と話していると、全てを投げ出してとにかくボーッとしたい。何も考えない静かな時間が欲しいという人も結構多くいます。こういう意見を聞くと「さもありなん」と私は思います。例えば、ニュースを見ていて毎回思うのですが、よくもまぁこれだけ酷いニュース、碌でも無いニュースばかり探してくるものだと感心するのは私だけでしょうか?
政治のニュースは金と政治の汚さや、責任問題の追求のヤジを聞かされ、社会に関するニュースでは誰が殺された。どこで火事があったと凄惨な現場を聞かされ、経済に関するニュースでは金・金・金とあらゆるマネーの情報を聞かされ、芸能では、芸能人の誰それが逮捕された。もしくは付き合っただの別れただの…etc

こんなど〜でも良い情報を常に見聞きさせられ、都度「注意を向ける必要が有るか否か」と考え、もし有るようであれば「その事柄についてさらに考える」必要があるんですから、脳だってたまったものではないでしょう。無駄な情報ばかり摂取し続けているわけですから、私たちの脳は「メタボ脳」・「肥満脳」状態と言えるのかもしれません。ボーッとしたくなるのはきっと脳が「もう処理能力の限界!」と言っている証拠なのかもしれませんね。

とは言え、ボーッとすると言っても、考えないということを完全に実行するとなると、これはこれで非常に難しいことです。完全な無というのは悟りを開いた人か、あの世に旅だった人以外には無理でしょう。そこで、脳が「常に判断をしていなければならない状態」を回避すれば良いのだとすれば、「沈思黙考」してみるという手段が使えるのではないかと思います。一つのことだけをじーっと考えてみるのです。

私の例ではキャンプで焚火をいじっている時、火の動きだけを考えて、ずーっと火を見続けていられます。この時、不思議と心は落ち着いていて、一種の瞑想状態のような感覚になります。日常生活でやる場合、まず確保したいのはリラックスできる静かな個室ですので、設備の良さを売りにしている漫画喫茶を利用します。安いですしね(笑)耳栓して、好きなアロマオイルを数滴垂らしたアイマスクをつけて、ひとつのことだけじーっと考える時間を取ります。(注意:タイマーだけは手に持っておきましょう。下手すると寝ちゃいますから)こうやって日々の思考をあえて断ち切ってみると、プチ断食をした後のような、清々しい気持ちよさが感じられると思います。

特により早く、より正確に目的を達成するために利用する手段を追求しているうちに、いつの間にかその手段を目的と勘違いしてしまったり、当初の目的や理念からどんどん逸れて行ってしまったりしがちです。長期スパンの仕事を抱えている時、単発仕事をマシンガンのように撃ち続けられている時などは意識的にこうした時間を何としてでも捻出して、「無駄な脂肪=無駄な情報や有害な情報」を摂取して、疲れきっている私たち本来の「考える力」を取り戻す為に、時々「思考断食」を実践してみると、メタボでお疲れモードの脳もリフレッシュできると思います。


ちなみに…写真は私のキャンプ時の写真です。見苦しい写真でゴメンナサイm(_ _)m

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