ディスカバー社、この夏の一押し?『減らす技術(The Power of LESS)』を読了したので、ちょろっと感想などを。
"減らす技術 The Power of LESS" (レオ・バボータ)
たぶん私だけなのでしょうが、いつも自己啓発書の類を読むと感じる困惑をこの本にも感じました。
人生はシンプルなほどいい。余計な雑音を排除すれば、自分の好きなことを楽しめる。
仕事もシンプルなほど調子が出る。
文章だって、シンプルなほど力強く訴えかける。余分な言葉をどんどん削っていけば、核となるアイデアを伝えるのに必要な言葉だけが残る。
なるほど、確かに著者の主張は明快でわかりやすい。雑音・雑事・余計なこと、こういったものを削っていって「自分の好きなことをやろう」
でも、「自分の好きなことって??」と考え込んでしまうんです。自分の「核」とは何だろうって。いつもここで躓くんです。
もし神が目の前に現れて「さぁ、君に一生使い切れない程のお金と時間と健康な身体を与えよう。好きに生きたまえ」と言われたら何をしたい?若しくは死神が現れて「あと1ヶ月で君をあの世に連れて行く。一応予告しておくから残りの1ヶ月をエンジョイしたまえ」と言われたら何をする?
どちらにしても私はこの答えを持ち合わせていません。どうにも「欲」のようなものが希薄な人間のようです。村上龍的に言えば狩猟的ではなく農奴的ということでしょうか(『愛と幻想のファシズム』より)
著者はタバコを止めることに全エネルギーを注いだことが最初の一歩だったといいます。ということは、私は今、自分の「核」が何だかわからないけど、無駄だな、邪魔だなと思っていることを削っていけば最後には「核」が残るということになるのでしょうか?削りに削った結果が「空っぽ」だったと考えると非常に怖いのですが、きっと何かの形が残るだろうと信じてみるしかなさそうです。とりあえず体育感にでも自宅にあるモノ全部並べて選別してみたくなりました。
ところで、読了後非常に薄気味悪い感情にも囚われました。これほど「削る」・「ダイエット」・「整理」・「シンプル」・「選択」・「集中」・「断る」などの言葉を大連呼しなければならない程、あらゆるモノ、あらゆる情報、何もかもが溢れかえっている社会というのはどうなんでしょうか?『銀河鉄道999』という漫画に「機械を支配するのに成功した星」という話があります。何もかも機械にやらせて、することがなくなった人間がどうなるかという話なのですが、現代もきっと他の星の生命体から見たら非常に醜い姿をしているように思えて、何やら空恐ろしくなりました。
1 コメント:
空恐ろしくなるというのはわかる気がします。だから、情報過多にならないようにこういう書籍が必要になるんじゃないかなぁと思ったりしてます。
コメントを投稿