仕事術が瓦解する原因とその対策法について

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「自分がやりたい仕事をやりたい」けれど「忙しくてできない」という人がいます。確かに発狂しそうなくらい忙しい時というのはあります。その処方箋として多くの仕事術を扱った書籍では、「大切なことだけにフォーカス」し、「どうでも良い仕事を減らすように」と書いてあります。「できればとっくにやってるわ!ボケ!」と悪態のひとつもつきたくなるアドバイスです。つまりはアドバイスになっていないのです。

例えばクレームなんてその最たるものです。「自分は売るのが仕事、クレームはサポートチームの仕事」という体制が整った恵まれた職場は別として、一般的に営業職の人がクレームというミサイルを撃ち込まれた場合、その火消し仕事がいきなり最優先事項になってしまいます。従ってそれまで手がけていた仕事はペンディングにせざるを得なくなるわけです。私はこれが仕事術の本に寄せられる問い「急な横入りがあって」とか「自分の意志ではどうしようもないことが多くて」とか「結局仕事術は上手く回らない」の正体だと思っています。このあらゆる仕事術のワークフローをいとも容易く貫通してくる弾道ミサイルのような仕事は基本的に防ぎようがないものです。当たり前ですね。クレームを予期しながら納品する営業マンなんていないでしょう(笑)しかし日頃の準備如何で、この突然飛来する弾道ミサイル仕事に対抗することは可能だと私は思っています。

私は仕事とは超大まかに3つに大別できると考えています。

  1. マニュアルどおりやれば良い仕事
  2. マニュアル化することができる仕事
  3. しばらくマニュアル化できない仕事

の3つです。恐らく多くの人が言う「やりたい仕事」とは3のことだと思います。1のマニュアル通りやるのは退屈だし嫌だというのは多くの人に理解していただける部分だと思います。(ただし、その仕事をやってくれる人が当然必要なのは肝に銘じておきましょうね)
落とし穴は2番です。マニュアル化して誰かにパスすれば良いのに、「俺がいないとこの仕事は回らないんだ」と自己陶酔に陥りやすい仕事だと思うのです。確かに「俺がいないと」というのは気持ちが良いものです。何か偉くなったような気がしますし、周りの人が頼ってきてくれるのは自己顕示欲を満たしてくれますからね。多くの人はココでその「上手くやれる気分の良い仕事」を「やりたい仕事」と勘違いしてしまっているのではないかと思います。自分が気分が良いことに乗じて、いつまでもマニュアル化せず、他人にパスしないから、突然飛来する弾道ミサイルのような仕事にテンヤワンヤして、結局上手くやっていたその仕事も崩壊してしまう。または上手くやっていたと考えていた仕事術も破綻してしまうのではないかと思うのです。

私は、あらゆる仕事は「誰もができるマニュアルに仕上げる」ことが最終工程であり、そのマニュアルが正真正銘の成果物ではないかと思っています。マニュアル化するというのは実に高度な能力と技術が要求される仕事です。当然メンドクサイと思いがちな作業でもあります。しかしミサイルが飛んできていないセーフティーゾーンにいる時にこそ、せっせと今の自分の仕事のマニュアルを作ることをオススメします。地味にコツコツとマニュアルを作って自分の代理を皆ができる体勢が整って初めて、正面から弾道ミサイルを迎撃することもでき、マニュアル化できない新しい仕事にチャレンジすることもできる状態になれるのです。つまりあらゆる仕事術が正常に機能し続けるためには、先に先に他人にパスしておく努力をする必要があるのです。あまりにも当たり前のことすぎて多くの仕事術では取り扱っていないだけなのかもしれませんが、ちょっと不親切と言えるかもしれませんね。こんなにでかい落とし穴を放置しているのですから。

今自分が誇らしく思っている仕事が、実は2番の仕事ではないか?とGTDのワークフローをお使いでしたら週次レビューの際に自分に問いかけてみる必要があると思います。

2 コメント:

しんりん さんのコメント...

なるほど!仕事の最終成果は誰でもそれができるようにするマニュアル、この考え方はなかった。
とても参考になりました。

Kazumoto さんのコメント...

☆しんりんさん
こんばんは!コメントありがとうございます。返信遅くなってごめんなさい。

マニュアル化しておけば、いざという時ホントに助かります。代わりが利かない仕事を自慢するのではなく、誰でもできるようにした仕事を誇るべきだと僕は考えています。

その人の素質を100%パスすることはできないでしょうが、ある一定レベルまでは誰でもこなせる仕事が殆どなはずです。

僕の作るマニュアルはクイズ形式にしたりして、ちょっとした遊び心を加えて、取っ付きづらさをなくす努力をしています(笑)