ビジネスパーソンが明石家さんまさんを目指す危険性

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注1:佐々木さんが明石家さんまさんの例をあげたワケではありません。
注2:私はさんまさんのファンですので、悪意はありません。

8月25日に佐々木正吾さん主催の「第6回マインドハックス研究会」に参加してきました。第4回から参加していますが、毎回非常に大きな気づきが得られるセミナーです。しかし今回は”衝撃”と言っていい気づきが得られたので、それについて書こうと思います。

第6回のテーマは「やる気」でした。「やる気がある」というのはどういうことなのか、やる気を出す為のハックについて行動科学、認知療法、深層心理学らの理論的な背景を交えつつ身近な例を挙げて説明していただきました。これ自体、相当勉強になったのですが、”衝撃”はその後にありました。

やる気ハックの次のアジェンダが「軽そう状態」だったのです。

軽そう状態とは字のとおり、「軽い躁状態」のことです。鬱についてはメディアでも見かけることが多くなりましたが、躁についてはあまり見ません。
私も躁ではないので、躁のことは良く分かりません。しかし完全に躁な状態の人と病院で会ったことはあります。めっちゃくちゃ真顔で「僕は空が飛べるんだよ。空を飛ぶのは気持ちいいよー」とか「船は本来、海じゃなくて宇宙に行くための乗り物だ」とか「自分が世界を創造した」とか言いますし、常に自信満々でハイテンションな感じです。気持ち悪いくらい常に笑顔というか恍惚の表情のままの人もいました。これらの軽い状態が「軽そう状態」とイメージすればひとまず良いのだと思います。

問題は「軽そう状態」は自己効力感が上昇し行動意欲も増進するため、やたらとやる気が高いレベルで持続し、生産性が上がり、現代社会が求める理想のビジネスパーソンに見えてしまうことなのです。

現代社会が求める理想的なスーパービジネスパーソンはバブルの頃の「24時間働けますか」がベースで、さらに今では「24時間で48時間分以上の生産を上げるられる人」ような気がします。だから、やる気を出す、生産性を上げる、モチベーションを上げる、効率を上げる等がキーワードになっているビジネス書が多いし、それが多くのビジネスパーソンに求められるのだと思います。

ここで一人、現代社会が求めるスーパービジネスパーソンの条件にがっつり当てはまっている人が思いつきました。そう誰もが知ってる「明石家さんま」さんです。さんまさんの仕事は「しゃべる」ことです。彼は仕事場で常に200%しゃべくり倒し、番組が終わっても、プライベートの時間でも寝る間も惜しんでしゃべくり倒していると言います。まさに仕事で高い生産性を上げ、それを持続し、プライベートも何も関係なく、話芸を追求しているわけです。これを見上げたプロ根性と捉えることもできるのでしょうが、これは果たして正常なのでしょうか?

セミナーで佐々木さんは「急に生産性が上がったり、いつもよりやる気が高まっているような状態が続いたとしたら、それは実は『軽そう』状態の疑いがある」と指摘し警鐘を鳴らされました。軽そうは双極II型障害に分類されるので、それは『鬱』につながる可能性もある為、十分に気をつけなければならないのだと。

私の場合、意識的にゾーンに入れる時があります。特に細かい作業(ナノレベルの精度が求められる作業)などをしている時はその頻度が高く、心の中で「ゾーン」と言えば入れるくらいな時さえあります。しかしゾーンに入って無茶苦茶なスピードで生産性が上がった後の反動はヒドイもので、全く動けなくなります。一気に鬱に行きそうになります。佐々木さんが指摘しているのはまさにこの状態のことだと思い至り、本当に”衝撃”的な指摘でした。

もしこの記事を読んでくれたあなたが、常に全力を超えて200%で仕事して、200%やる気を出し、それを常にキープしている「明石家さんまさん状態」を目指しているのだとしたら、これは明らかにおかしなことなのです。人間「やる気がないときがある」というのが正常で、常に最高レベルのやる気をキープ出来るなんてのはおかしいのです。やる気が起きなくて困っている。やる気を起こす方法はないものか。やる気を持続させる方法はないのか、みんなこういうことで悩んでいると思いますし、それに対する解を扱った書籍も多いですが、過度に求め続けると、その先に待っているのは「病気」という現実かもしれません。

あんまり調子が良すぎるようなら要注意!意識的に休憩を取るくらいが実は丁度良いのかもしれません。実はこれこそ今必要な「やる気Hack」なのかもしれませんね。

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