心のセーフティーネットを準備しよう

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ここ数週間、何がきっかけかわかりませんが、一気に鬱に落ち込み、ものすごく苦しんでました。その結果、鬱の予兆から最低に落ち込むまでの過程とその時の対処法が朧気ながら見えてきたので、自分の備忘録及び同じ病に苦しむ人、その家族の参考になればと思い書き残しておきます。(あくまでも私の経験則です。学術的根拠などはゼロです。その点ご承知おきください)

鬱に落ちていく段階を自己観察すると、どうやら概ね10段階あるように思えます。

フェーズ1.風邪に似た症状が長引く(7度ちょっとの微熱が続くなど)
フェーズ2.集中力が持続出来なくなる。質問されたりすると即拒絶したくなる
フェーズ3.落ち着ける場所が無くなっていくように感じる
フェーズ4.落ち着ける場所を見つけたらそこから動きたくなくなる
フェーズ5.動きたくない自分に腹が立ち始め、言動はじめ全てが攻撃的になる。
フェーズ6.攻撃的になっても変わらないことが分かって再度動きたくなくなる
フェーズ7.鬱になった自分を責める思考ループに入る。原因は全て自分のせいだと考える
フェーズ8.自分が悪いのだから、自分がいなければ解決すると思うようになる
フェーズ9.幻聴(だと思いたい)で「死ね」というささやきが聞こえる
フェーズ10.本気で死ぬこと、死に方を考える。

フェーズ10まで来てしまうと、あとは復活のきっかけを掴むか、死ぬかの2択になります。
今回、わずか数日でフェーズ10まで落ち、そこから数日で復活出来たのは本当に奇跡的なことだと我ながら感じます。今回復活出来た最大の要因はTwitterでのみんなからの励まし、支えの言葉でした。特にhaTshさん、utchyさん、oilshopさん、kira88さん、Match2chさん、には本当に感謝です。

また、佐々木正悟さん主催のマインドハックス研究会に参加していて本当に良かったと思えた瞬間でもありました。これは脳内物質が引き起こしていることだと最後まで思えたこと。また脳内物質のボリュームを整えられれば元に戻るということを学んでいたからです。ですから落ちていく中でも冷静に自分を観察することができ、ユビキタス・キャプチャーし続けることができました。今回フェーズ10まで行く過程で、色んなことを試しましたし、ここでコレをやっていれば違っていたかもしれないということもあったので、その辺をフェーズ別に書いておきます。

フェーズ1.風邪に似た症状が長引く(7度ちょっとの微熱が続くなど)
 対策:今思えばこの時点で休むべきでした。オカシイと感じたら休む。これは基本です。期末で休めなかったというのが決定打だったのかもしれません。

フェーズ2.集中力が持続出来なくなる。質問されたりすると即拒絶したくなる
 対策:拒絶反応に気づければ、ここ段階までならマインドハックが役立ちます。幸い今の職場は僕の病気のことは全員知っているので、「今オカシイんです」と明言しておき、人間関係のトラブルに巻き込まれないようにしました。また、作業を出来る限り細切れにしてその1つの作業だけをやったら休憩、やったら休憩と急ぎの仕事でも休憩を取るようにしました。握力ボールを握ってみたり、ふらっと外に出て気分を変えてみたり、水を飲んでみたり、WhiteNoiseを聞きながらやってみたり、イロイロやりました。ここでSTOPをかけられることが殆どだと思います。その意味でマインドハックを学んでおくことは絶対必要ですし、重要です。

フェーズ3.落ち着ける場所が無くなっていくように感じる
 対策:会社にいても落ち着かない、自宅にいても何か居心地がわるい、自分の城である書斎ですら何か自分を拒絶しているような感じがする。そんな気分です。常に自分に良くしてくれる(接客態度がサイコーな)お店を探しておくのが良いと思います。
本来、落ち着ける場所は自宅がそう在るべきなのですが、次の4を考えると、本当に落ち着ける自分だけの隠れ家は外に見つけておいた方が良さそうです。図書館はオススメしません。あくまでも人との接点がある所が良いです。小気味よい会話が楽しめる昔ながらの喫茶店なんてのが理想的かもしれません。

フェーズ4.落ち着ける場所を見つけたらそこから動きたくなくなる
 対策:落ち着ける場所が自宅以外であれば、閉店時間が来たら出されます。しかし自宅の書斎などがあまりに快適だったりすると、本当にそこから出られなくなります。今回のことで、我が家では書斎の扉を取り外しました。

フェーズ5.動きたくない自分に腹が立ち始め、言動はじめ全てが攻撃的になる。
 対策utchyさんもTwitterでおっしゃっていたとおり、鬱と攻撃性は表裏一体の関係です。突然破壊衝動におそわれます。机の上が汚い、リビングテーブルの上に書類がたまっているとかそんなことが無性に腹立たしく、全てをぶっ壊したくなります。これは自制できません。事前に100均などで「かっこわるい・デザインがむかつく」お皿を買いだめしておいて、それをどんどん割っていくというのもアリです。実際今回これをやりました。破壊衝動を当てて良いところが無いと、本当に他人や動物を殺しかねないので、これは用意しておいた方が良いと思います。
 
フェーズ6.攻撃的になっても変わらないことが分かって再度動きたくなくなる
 対策:暴れるだけ暴れて、疲れたことからこのフェーズに入ると思われます。家族は安心すると思いますが、この時点で自傷行為に走る場合があるので、その点注意が必要です。コレに対する対策ですが、動きたくなくなったときに戻る場所を無くすことです。書斎に引きこもっていた場合、書斎で暴れていたら、そのあと書斎でうずくまるのも億劫になるはずです。従って落ち込める場所がなくなり、寝るしかない状態になれば成功と言えると思います。

フェーズ7.鬱になった自分を責める思考ループに入る。原因は全て自分のせいだと考える
 対策:先に寝ると書きましたが、絶対寝られません。ずーっと延々回答のない問題を考え出します。しかも全てが後ろ向きです。ここでTwitterがひとつの助けになります。他の人は基本的に楽しい思いをしているじゃないか、こうなろうよと思考を少しでもズラすことが出来る可能性があります。いつも笑ってしまうようなつぶやきをしている人をフォローしておくのは絶対効果的だと思います。

フェーズ8.自分が悪いのだから、自分がいなければ解決すると思うようになる
フェーズ9.幻聴(だと思いたい)で「死ね」というささやきが聞こえる
 対策:8と9はほぼ同時に訪れます。逆説的ですが「生と死」を描いたマンガを読むことを薦めます。個人的には「」というマンガが一番良いと思います。もしくは極限状態を描いた小説なども効果的です。この場合、日本最高のアルパインクライマー、山野井夫妻を描いたノンフィクション「」をオススメします。この極限に比べれば・・・と思えれば復調のきっかけを掴めるかもしれません。間違っても太宰とかは読んじゃダメです。背中を押されてしまいます。読む体力が残っていない場合は、音楽か香りかどちらかを使いましょう。音楽はできるだけスローテンポなもの。香りは良く分かりませんが落ち着くと言われている香りが良いのではないでしょうか?

フェーズ10.本気で死ぬこと、死に方を考える。
 対策:まず身近な人の死に顔を思い出す、もしくは知人の葬式などのシーンを回想すると、自分が居なくなったらどれだけの人に迷惑をかけるかを考えると死ねなくなります。私の場合は妹を思い出し死ねませんでした。

また、これ以外に、今回気づいたことですが、日常生活を規則正しいものにしておく重要性です。私の場合だと(平日のスケジュール例)
 6:00起床
 7:32自宅出発
 8:20会社着
 12:00-12:25昼食
 12:25-12:55昼寝
 13:00-17:00仕事
 17:00-17:30その日の纏め仕事
 18:00〜18:30頃帰社
 19:20頃帰宅
  以降、愛犬と散歩に行ったり、夕飯食べたり、読書をしたりする
 11:00就寝

この生活をほぼ守るようにする。予定外の残業だとかが入った場合はこの日常に歪みが生じます。その小さな小さな歪みの積み重ねが突然、鬱へと引っ張って行くことになると思うのです。

そして、もう一つ。意外な落とし穴なのが休日の過ごし方です。休日ってどこかに出かけたりしなければ"ならない"と思ってしまうのです。でもこれは結構危険です。買い物に行くにせよ、遊びに行くにせよ体力が必要です。休む日なのですから、気分転換程度の外出に留めて、ムリに何かをしないようにする必要があるんです。でもゆっくりするというのも、鬱病になるようなタイプの人には難しいことです。常に何かしていないと落ち着かないのですから。

ですから理想的には土曜日は出かける。日曜日は休む。休むにしても何かしてないないといけないから、家でできる趣味(日曜大工とか、読書するとか、靴磨きとか・・・)何かやってて楽しい作業を見つけて没頭できるようにことが必要だと思います。普通の人には嬉しい連休でも鬱の人にはまさに鬱々たるものになる可能性があります。家族が居る人だったりしたら「ああ、また苦しい家族サービスをしなければいけない」とか「ああ、また家内の買い物に付き合わなきゃいけない」とか。そんなことも周りの人は少し理解してくれるとずいぶん助かると思います。

まずは平日の生活を規則正しいものにしてそれを遵守する。休日の過ごし方は(家族との話し合いは必要でしょうが)出来る限り自分の時間を確保させてもらう。これを実践して尚、鬱に引き込まれそうな場合は、上記の通り、事前にセーフティーネットを確保しておくことをオススメします。心のセーフティーネットは国も家族も提供してくれません。これは自分でしか出来ないぶっちゃけシンドイ作業です。しかし"死ねない、死にたくない"と思うのであれば、何か対策を打っておくことをオススメします。

それともう一つ。私だけかもしれませんが、他人との会話が苦手になります。それなりに気心のしれた人とでも二人で対面で話そうとすると、目を合わせられず、気の利いた台詞も言えず、あとで非常にいたたまれない気分になります。でもTwitterなら、FriendFeedなら、対面ではありませんし、考えた上で発言できます。たとえはhaTshさんとは直接面識があるわけではありませんが、今回いただいたDM、以前にいただいたメッセージにどれほど救われたかわかりません。鬱病の人、コミュニケーションに不安のある人にこそ、Twitterみたいな、別に利用を無理強いをするわけではないし、自分の好きな時間にボソっと書き込めるだけというゆる〜いサービスはいざというとき最大のセーフティーネットになるかもしれません。その救いはヘンな話しですが、家族以上のものだと私は思います。こういう方々と知り合えて、沢山のメッセージをもらえる幸運に感謝しつつ、このながーいエントリーが同じような境遇の人の助けになればと思います。

最後に、おそらく昔は鬱病なんて無かったと思うんです。それこそ原始時代なんて鬱病にかかる余裕なんてのはなかったろうし、第2次世界大戦が終わるくらいまでもそんなコトはなかったんじゃないかと思うんですね。何故、イロイロな物が溢れて、生活が便利になって、食べるものにも着るものにも住居にすら困らないこの現代に、このような病気が増えているのかホント不思議です。脳が現代社会について行けていないのか、それともどこかで人間の発展方向が間違ってしまったのか、何故なんでしょう?

1 コメント:

太郎 さんのコメント...

Kazumotoさん、長文投稿お疲れ様です。
大変ですね。この詳細な記録&分析を読んでいると、コントロールできない辛さが伝わってきます。
この文章自体が、他の方への支えになりますよね!ありがとうございます。

Kazumotoさんは、本当にまじめな方なのでしょうね。まじめな人ほど、やらなきゃならない、という強迫観念に潰されていく、という社会状況を何とかしないといけませんね!

ところで、同い年だという事に今更気づきました。お互い色々ありますが、ゆるくつながり、支え合い、頑張っていきましょう!

今後ともよろしくお願い申し上げます。