鬱病キャリアによる「職場のうつに関する誤解と偏見」考察

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ガジェット好きでギークな産業医・医師・医学博士の難波克行さん@electricdoc) さんが主催する『ELECTRIC DOC』というブログがあります。
このブログ、産業医という立場から、鬱病を始めとして、様々な病気を抱えた人が社会復帰する為のノウハウ等を詳細に書いてくれている非常に参考になるブログです。

本日のエントリーは「職場のうつに関する10の誤解と偏見(後編)」ということで、職場復帰してきた鬱病社員に対してどう接すればよいのかアドバイスされています。非常に興味深いエントリーですが、ちっとだけ鬱病キャリア側の私見を追記させていただきたいと思いました。

誤解6:うつ病を治してから働くべきだ
 うつ病の治療は「自宅療養」と「職場復帰」の2つの段階に分かれています。まず、自宅療養で「何とか出社して最低限の仕事をこなせるレベル」まで回復します。次に、職場復帰してから「通常の仕事がこなせるレベル」へと少しずつ回復していきます。

職場復帰したら即時、通常の仕事がこなせるレベルに復活しているとは私も思えません。私の場合は、2回目の復帰のときは、9時~15時までの変則勤務時間体制を1ヶ月取ってもらいました。こうした助走期間を設けてくれる理解ある会社でしたら正々堂々甘えましょう。仕事ができるようになったら、コツコツ返済していけばよいのですから!仕事をこなすことより、職場環境、毎日出勤することに適応することの方を最初の2週間は最優先するくらいで丁度良いと思います。
誤解7:うつ病の人は仕事ができない
 うつ病になると、体力や集中力など「仕事力」が一時的に低下します。順調に回復すれば、半年ほどで「以前と同じように仕事ができるレベル」になります。しかし、それまでの間は、無理をすると病気が再発するおそれがあるため、一時的に業務負荷を軽減して対応します。

助走期間を終えて、通常勤務になった時には本当に身体が付いていきませんでした。帰り着くとベッドへ倒れこむ、まさにバタンキューという状態です。この時期の注意点として、休日を大切にすること。休日遊びに行くのも体力が要ります。普通の体力が身につくまで、自重して、土日はひたすら平日の為にエネルギーチャージに勤めるほうが無難です。しかしそれが「仕事力の低下」に繋がるかといえば私はちょっと疑問に思います。1年や2年で、仕事の基礎能力は低下しないと私は思います。本人が「ここまでできるはず」と思ったものと、実際に「できた量」とのギャップはあると思いますが、概ね普通の人と同等の働きができているはずです。「まだできない」と、あまり決め付けないで欲しいなぁと思います。特に、体力は兎も角、集中力は十分人並みにあると思います。
誤解8:うつ病の人には仕事を任せられない
 職場復帰直後は、体調に波があったり、作業に時間がかかったり、正確さに欠けたりします。それらはうつ病の症状です。半年ほどすれば以前の状態に回復していきます。ただし回復が遅れるケースもあります。

これは完全に誤解だと私は思います。体調の波はあるでしょうが、風邪を引いたら正確性にムラが出るのと同じ程度で、鬱だから作業の正確性や作業の質に影響が及ぶとは思いません。むしろ迷惑分を早く返済しようと過剰にこなしてしまうことこそ問題です。仕事は任せた方が、本人は嬉しいですし、やりがいも出てきます。但し、常軌を逸したスピードで処理するようであれば、静止してあげる助けが必要だと思います。
誤解9:うつ病の人はなまけものだ
 うつ病の背景にはいろいろな要因があります。熱心にバリバリ仕事をする人も、それなりの人も、どちらもうつ病になる可能性があります。また、職場復帰後は一時的に仕事力が低下しており、再発防止のために業務負荷を軽減する必要があります。

これは典型的な誤解ではないかと思います。私が知り合った鬱病の人は「真面目」な人が殆どでした。「仕事前は怠けてたんだけどさぁ」なんて言う人は一人もいません。むしろ怠けられるなら鬱にはならないと私は思っていますし、怠けることが苦痛に感じる人がなりやすいのではないかと私は思っています。仮に一時的に仕事力が低下していたとしても、新入社員よりは使える程度には、人並みには仕事を怠けることなく、キッチリできると思います。何しろ根は真面目な人なのですから。

誤解10:やさしい言葉で接しなければならない
 職場復帰から数ヶ月間は、疲れやすかったりストレスを感じやすかったりします。だからといって、接触を避けたり、過保護になったりする必要はありません。「大変な病気を経験し、不安を抱えながらも、職場復帰をがんばっている同僚」に対して、普段どおりに接すればOKです。ただし、ぶっきらぼうな口調やきつい言い方はストレスに感じることも多いため、避けた方がよいでしょう。

過保護な必要は無いと思います。ただ、一番キツイのは「無視」です。腫れ物に触るかのような必要はないけど、面倒だから無視というのだけは、しないで欲しいと思います。また、キツイ言い方をしなければならないシーンであれば、フォロー役を同席させるなど、過度に追い込まないような配慮はしてあげて欲しいと思います。他人と話すということに不慣れになっている場合が多いと思うので、話すこと=ストレスではあります。以前より言葉を選ぶ時間がかかったりはすると思います。

と、まぁ、100%私見を書いて見ました。鬱というと厄介だと思われると思いますが、一番厄介に思っているのは他ならぬ本人です。真面目で不器用な人が多いんだと思います。「適当に手を抜く」「ちょっとサボってみる」「今日は怠けてみよう」なんてことができない人たちの割合の方が多いだろうと私は思っています。「逃げ場がない」、「逃げ方がわからない」から、鬱になってしまうのであろうと思います。

また、何をもって仕事力とするかは兎も角、医者からOKをもらって復職した人は、普通の社員と等しく「戦力」としてカウントして欲しいと思います。どのくらいの「戦力」かは、新入社員が入ってきた時、皆さん遠目で観察して推し量るでしょ?あれと同じで良いと思うんですよ。但し、新卒採用の人と比べて、基礎仕事力は絶対に上ですから、1ヶ月もすればすぐに立派な戦力となるでしょう。

幸いにも私の会社は、とってもこの病気に理解のある会社だったので、色々優遇処置を取ってくれたのは、本当にラッキーだったと思っています。鬱病というだけで、スゴイ偏見を持っている人、会社も多いと聞きますが、それは大間違い。「鬱病になったことがあります=根は真面目で几帳面な人間です」と肯定的に捉えて欲しいと切に思います。一回鬱病になった人は、底力が違います。ちょっとだけ気をつけてもらえれば、スゴイ戦力になるヤツらなんだぜ!って声を大にして言いたいですね!

1 コメント:

匿名 さんのコメント...

現在、2度目の復職中(?)の身です。「適当に手を抜く」「ちょっとサボってみる」「今日は怠けてみよう」とは良く産業医さんに言われます。そんなときも気がつけば「怠ける」ことをスケジューリングしてたりします。。。